2013年6月8日土曜日

ダン・ラウリン氏来日公演



スウェーデンの世界的な奏者、ダン・ラウリン氏と奥様のアンナさんのコンサートが
大阪のホットスポット、タケヤマホールにて開催されました。


前日と当日に私のお弟子数人もレッスンをして戴いたようで、素敵な経験に
なったようです。ただ、いずれも相当吹けるお弟子連なので、どちらかと言うともう少し
初心者が習うべきだったかとも思わなくありません。
ベテランの奏者の引き出しは豊富ですので、お上手でない方こそが、より
貴重な経験になるでしょうから。






さて、別件でご夫妻とランチをしたのですが、彼の思う事象と同じ事が多く、
例えば、古楽の指揮者の音樂作りについては意気投合しました。

たまたま昨日、私は前述のヘルヴェッヘのくるくる指揮?を観ていましたし、
アーノンクールの常に怒りに満ちた本、汚い(主観)フォルテシモ、
ブリュッヘンの通常のベートーヴェンのテンポをわざと遅くして、効果を出す方法など。
最後にはカラヤンやカルロス・クライバーに至るまで。

ご本人は「古楽奏者の指揮は学ばれた物ではない」ので、きっちりと学習をしてから
試みたいのだそうです。奥様によれば、依頼がくるのだから引き受ければ良いのに、
と。
本質的に真面目な方です。

また、水墨画がお好きなそうで、丁度出来上がっていたこちらのAKPの譜面を
差し上げました。



さて、コンサートですが、全てにおいて大変お世話になっている竹山氏の依頼と
あればお断りする理由がありません。

正直、英会話には不便をしませんが、コンサートでのMC通訳というのは、
結果的に玉砕と言いますか、甚だ不本意な結果になりました。





もちろん、いつも言いますように「プロ」の存在する職業は、絶対にその「プロ」が
秀でています。それは、自分もプロだけにアマチュアとの相違は非常によくわかります。

それだけに、必死に己の小さい脳を動かし、努力しましたが、結果的に単語力の少なさが
アダになった感です。馬鹿のように笛ばっかり吹いたせいですw

特にアンナさんのギリシャから誘発されるインスピレーションがバッハに至る、や、
ナポリ学派のうんぬんの、スウェーデンのバロックの作曲家「ルーマー」云々については、
むつかしすぎて、賢いお客様に突っ込まれる始末です。カッコ悪いことですよ。
少しだけ喋るので、との約束が、哲学や構成を語るもので、しかも弾丸なので、脳がヘロヘロ。

反面、非常に勉強になりました。

最近、発見されたナポリのレオなる作曲家のリコーダー協奏曲について、
あるいは盛期バロックのスウェーデンとロンドンの関係など。


演奏については完全なダン・ラウリン奏法であり、良い子は真似してはいけません。
基礎を経た50代にのみ許されます。(真面目)


数人のお知り合いには嬉しいお言葉も頂きましたが、自分の勉強と経験のためとはいえ、
プロの領域には、やはりある一定のラインが存在するのだろうと、確信しました。

逆に言えば、リコーダーの世界にも明確に一定のラインが存在しますから、
超えてもいないのに偉そうな事は言わないようにして欲しいということでもありますが。

ところで、調律法。当然古楽関係者はその内訳を理解しています。

昨日は私も信頼を寄せる安田氏だったのですが、彼らの希望を四人で議論しました。
通常がa=415Hzですが、1曲をモダンピッチで演奏し、その変ロの和音が綺麗にしたい旨。

さぁ、何が的確か。
結局、キルンベルガーの3番が妥当か、という事で安田氏も奮闘されていました。
彼の調律は他の方と少し異なり、どんどん奏者に近づいて来る何かが存在します。
故に、私もいつもお願いするのですが、やはりご夫婦共に非常に満足されていました。

ついで、妻のお手伝いした「譜めくり」も、面白いことに世界でナンバー1だった、と
褒めて下さいました。
当然弾いたことのある楽曲を左手で瞬時にめくるのですが、本来は右利きです。
右の場合は奏者の顔を遮る事になるのでいけません。小さな事ですが集中には重要な事です。


妻も譜めくりストとしてお手伝いを差し上げました。勿論完璧。




いずれにせよ、大阪で(好き嫌いは別にして)諸外国の猛烈なプロの演奏会に接する事が
出来るようになったことは、ダン・ラウリンも言っていましたが、全て竹山氏への奏者の尊敬と
ご自身の身を切る想いとご尽力であることは否定出来ないでしょう。


同じ理由で台湾の方々三名も聴衆として大阪に。一人は以前、これも私がセミナーの
通訳をしたチン・ウェイ君。ボストン古楽祭への途中に数日、大阪に、だそうです。

そのお友達は男性がリコーダーの製作を日本へ学びに留学する、とのことでした。
しかもフライブルグ音大で学んでいたため、在住の私の友人数名が結びついた次第です。

彼らはあすの私の中規模アンサンブルに参加されるのだそうですが、
随分、大阪も刺激的で楽しくなって来ました。


因みにコンサート、平日夜でも満席でした。