2013年8月30日金曜日

本の完成






8月にお呼ばれして、実践させて戴いた台北に於ける三日間は九時間に及ぶセミナーをベースに
「リコーダーでジャズを楽しみましょう」というテキスト本(英語)を作成、本日完成しました。








残せるものは早いうちに(・・;)
そして、誰もやってないうちに・・・。


実際にセミナーを実践したわけですが
結局はバロック音楽との共通項の多さに音楽の歴史連鎖を強く感じた次第です



2013年8月21日水曜日

東京リコーダー協会セミナー



今日などは長年お声がけを頂いている東京リコーダー協会の主催で愛好家の方々が
集まる大合奏セミナーで、午前から約6時間ほどで指導をさせて戴く。

留学時の授業でこの大合奏の授業が約3時間のぶっ通しであった記憶は強く、
故に受講される方々の集中力を保ち続けるにはそれなりの技と間が必要。
師匠フィリップは緩急付ける指導力がずば抜けていたことはよく覚えており、それだけに
喋りすぎ、吹かせすぎ等に細心の注意を払う。


個人的にリコーダー臭い作品を非常に好まないため、どうしてもそうでなはい音楽を提供し、
指導してしまう傾向があるのは果たしてそれが良いのかどうかではあるが、アレンジ作品が
大半を占めるのは事実な世界なので、許して頂こうかと。






今回はメンデルスゾーンのシンフォニーからの第2楽章、と、己のAKP作品第1作「ふるさと」。
この「ふるさと」は本来は4人用提供作品だが、大合奏にも適合するらしい~と、
既に存分に出回っている台湾からの情報で知ったのだから興味深い。


南の海の漁業権だけに留まらず、リコーダーの世界もアジアを席巻しつつある国からの
逆情報、というかエクスペリエンスの逆輸入というか・・・。
それだけに、制作した当方に先々への指導依頼も多い。


と、いうことで、非常に稀有な日本でのセミナーに出かけてきます。
自国語での指導、というだけで随分と苦悩は少ないのはありがたい。



後記 ;;


近日で3カ国の多くの愛好家の方々に接した事になるが、それぞれ良い面では、
とても熱心な事、プロに敬意をお持ち下さる事、については共通している。
先生はどの国へ留学され、誰に習ったのか、とほぼ聞かれる。
存外、イギリスが少ない(学費が高い)ため、ことの他、興味を持たれるもの。


その、スペシャリストについて明白に存在を感じ取る力は台湾にある。

シラブルによるタンギングの「ある一線」、ということに関しては、
日本人愛好家に一日の長がある、というか、有利なように思えた。

韓国は指導ではなかったので以前の感覚になるが、大変器用で熱心。
しかしさめやすいか?


で、
言語とタンギングと作品は全て音楽に関係してくることは明らかな事でしょう。



全体的に日本人は冷静沈着で無駄な動きは少ないのが良い。ただし、クールで抑揚も控えめ。
台湾は躍動感と熱意に満ち溢れていて、その探究心は半端無い。しかし楽器の質に欠けるか。
韓国は絶大な拍手と歓声を惜しみなく浴びせてくれ、しかしあくまでも静観もしている感じ。


これ、全ては主観ですが。






2013年8月16日金曜日

オブリガート・リコーダー




月末にリコーダー・オブリガートにてお手伝いをさせて戴く声楽の発表会をご案内します。



2013年8月8日木曜日

セミナー3




朝に胃の調子をひどく崩すも、そんな事は関係無い。
最終日の講習に向かった。午前は立派な盧州のKHSホールである。
スタンウェイも普通に置いてあるし、使える。


ここは9月6日に演奏予定の会場で、午前はリコーダー大合奏。


急遽な時間変更や遅刻、伸び、などの習慣には慣れぬものの、
今日は香港教育大学の学生が参加のため、よりモチベーションが上がる。
香港の学生達にはより英語がダイレクトに通じる。


留学時の経験活かす大合奏かなw


昼食のあとは最終日なので、もう少し私の時間になり、
なるほど、修了証の授与と茶話会も開かれ、交流をはかる。



午後は教会旋法でマイルス・デイヴィスが提唱したドリアン旋法による自由演奏に挑む。
今日は70人はいたようだが、全員に個々に8小節を連続させてゆく。

皆さん理解も早く、三日目ともなれば、それは立派で完全なジャズ演奏をしてくれた。
国民性も合っていると思った。


香港の学生代表からの挨拶::しっかりしてはります





手前味噌だが、段取りも悪くはなかったのだろう。

初日は、Cジャム・ブルースのメロディから始め、Cブルースの簡単なコードを知る。
コール&レスポンスを3音で実践する。
同じくそれをブルーノートで実践する。
全員に12小節の作曲、あるいは即興を演奏してもらう。

大合奏で「イン・ザ・ムード」を体験し、スウィングジャズを体験する。

コードに支配されるビバップジャズからの離脱として、モードジャズを知る。
教会旋法も即ちグレゴリオ聖歌や中世の舞曲からの発展と考察を出来るのでわかりやすい。



私を招聘し、これを実践させた台湾の先生が何より凄いと思う。
彼自身も本当に勉強したかったようで多くの質問を寄せた。

デモンストレーション、構想から2年。今日で確かに自分の貴重な体験になった。

要するに、自分の知るジャズを裏付け出来た形だ。勿論テキストをリメイクし、今後も
役に立てばと思う。

また、海外でセミナーを実践出来るかどうかも貴重な体験となった。


香港教育大学の学生諸君!



ここからは、決して自慢ではないが、

数人の方々から、先生は日本人らしい英語?ではない、なぜこうわかりやすのか?
という「妙な」質問をされた。

自分の知る日本人の英語はフラット、要するにワードは多いが発音、イントネーションが
非常に妙だ、と、そういう事をはっきりおっしゃる。

確かに日本の完全に間違った英語教育の弊害だ。
ラジオはレイディオ。テレビはティーヴィーとなぜ教えないのか不思議だ。

自身は小学時代のカナダ生活、大学院でのロンドン生活、諸外国へのふわふわ旅行の
賜物だと思っているが、思わぬ褒め言葉に、実は少し報われた気がした。

あまり褒められることが無いと、存外嬉しいものですね(*´д`*)


楽器へのサインなど、恐縮至極でした




たくさんの方々が共に写真、サイン、CDの御購入と、非常に実りある期間となったことは
自分史に刻まれると思う。


認定証と記念撮影、若手がとても多い



逆にそれだけ相当なプレッシャーでもあったという事も事実だ。




来月の9月4日に国立音楽庁、6日に盧州(台北市西北部)でのコンサートで再び来台する。
セミナーに比べれば、喋らないで良い分、気分は楽である。


取り敢えずあすの夜に帰国するが、日本食を!!!



2013年8月6日火曜日

台北セミナー2日目




2日目。

今日は一通り昨日の復習をし、昨日のシンプルなCブルースにベースラインを付けていく。
特にバスリコーダー好きにはたまらないひとときだと思う。

その後、メロディ組、コール組、レスポンス組、ベース組を構成。

次に、ブルーノートのアップスケールとダウンスケールを伝え、徹底して吹き込んでもらう。
理論で理解するのでは無く、フィーリングが重要なのだ。
特に日本人は真面目に教えてしまうきらいがありはしないか。

実際、「真面目」に美徳を見出し過ぎて、かつ「語彙の多さ」故に
我々はシャイでイントネーションが無い感情のわかりづらい国民、と言われるのだろう。


主催、発案、通訳はミンチョン・ウー先生



セミナーらしく、暫く時間を与え、自分で12小節をブルーノートで自由に作ってもらい、
60余名の全員を繋いでもらう作戦をとった。これは壮観だった。個性もあり楽しい。

勿論、わたしのこの方法論は私自身の考えだけではなく、あらかじめ友人のジャズメンに
相談とレッスンをするためのレッスンを受けていた賜物である。真面目だ・・・。

何も知らぬのに、それらしく教えるのは、非常に底が浅く嫌いなきらいがある。
造詣か経験は深くなくては、スキルの高い人にはバレるからだ。


さて、

ただ、ジャズはとにかく「雰囲気」がリンクしやすい音楽なので、いかに楽しい気分にし、
簡単でも構わないからとにかく参加し、思考して、スウィングして~とお願いする。

そのためにはこちらも恥をかかねば始まらない。昨日の歌(ブルース)に続いて、
リコーダーでのB.B.キングばりのブルージー芸などを披露した。


代表者を募う


おもしろいもので、

受講生の方々が例えば、小休憩の時に写真を撮って欲しい、
サインを欲しい、などと距離を確実に詰めてくる。
ダイレクトな国民性は楽しいもの。愛想を振りまいてきました・・・。


予定していた「モード・ジャズ」については時間が足りず、明日に持ち越すが、
昨日よりみなさん今日は確実に何かを掴んだ感じで、それを個々に伝えに来てくれる。

ある人は日本語まで喋るが、英語は堪能であり、質問もダイレクトで本当に熱心だと感じた。


真面目に受講されるみなさんを見て回ると質問がしばしば


あす、更に16人の香港の大学生が参加するという情報。
教室に入りきらないために、ホールで行われるとのこと。


興味深いのは、こちらの主催者から聞いた情報で、

無料の(或いはそれに近い)セミナーは参加者が多いのだが、そうではなくこれほどの
受講生がいる事は非常に希なのだそうだ。
20年来で初めてです、とベテランの教育関係者から話を聞いた。



要するに、それだけリコーダーで新しい事に向かいたいという気持ちの現れなのだろう。



やり甲斐は非常にあるが、もうホームシックばんばんである。





台北セミナー:Summer Seminar Jazz Recorder 8月5,6,7日




2年前の訪台で気に入って戴いてから2年。去年のワルター・ファン・ハウヴェに続き、
今年は私の年なのだそうである。光栄な事だが、現代曲や西洋人によるバロック、
ありがちなリコーダー大合奏には実は国民はもう辟易なそうで、それがゆえに、不詳
わたしにお役がまわってきたという事である。

確かに20年ジャズをジャズメンと共に演奏して来た妙なリコーダー奏者など
世界に存在しないわけで、よくぞ招聘して下さったものだ。

それだけに普通に対し、食傷気味な台湾全土と香港からの奏者や生徒、学校の
先生型の申し込みは今回殺到したとのこと。
日本との差異はもう莫大だが、それも日本らしい。
発想自体が無いのだから仕方ない。
わたしも自分からは売り込まないのでこんな事は生涯行われないだろう。
また日本人にはどうやら理解出来ないようだ。バロックと同じなんだが。



朝7時起床。

タクシーで会場に向う。20分少々で渋滞とは逆向きにすんなり到着。結構だった。
タクシーの運転手が日本語で「ありがとう」と言ってくれる。嬉しいではないか。しかも安価。

会場は立派なKHSという音楽会社のビルで、非常に綺麗な研修室。
早めに到着したため、ゆっくりと準備に入る。


国民性とは関係ないだろうが遅刻も多い。こちらはその分、仕事が減るのでこれも結構。

休憩10分もトイレ行列で25分になり、結構。
まぁ、約束時間が読めない事には慣れてきた。



セミナー室の壁三面には見たことのない程の長さのホワイトボードで恐れ入る。
しかし、大変ありがたい。言葉のリスクはこれでかなりカバー出来るはずだ。

KHSという会社のボスを紹介され、ご挨拶をする。
同じく香港のヘンリー・フォーさんにもお会いしてご挨拶。

秋の大阪でのフェスの話になりかけたものの、彼が「今は大変でしょうから、
後ほどまたお話しましょう」と気遣ってくれる。とてもお人柄な方。
フェイスブックで私の師匠:フィリップ・ピケとも知り合いだと判明し嬉しかった、と話した。

現在、開始6分前という状態だが、まだ20人くらいしか揃っていない。
国民性というか、おそらく数分押す気がする。

現実的な展開を予想して最後に練り込む


今日はバロックとジャズの相関性、共通性、歴史について話し、
フランスバロックのシャルパンティエの作品をバロックからジャズに変えていく作戦だ。

いかに同じ芸術的要素が共通しているかを知ってもらう。解離性をとにかく払拭し、身近に楽しく
作品に触れて貰うことはいらぬ誤解を解くのに必要である。


とにかくイントネーション豊かに英語を展開するとみなさんに伝わる。


しかし、己のどこまで言語中枢が回転するかが未知である。緊張こそしないが、
ドキドキだがワクワクする。とにかく知らないアジアの人達だし、やりがいがある。


非凡な出来事が存外暮らしの中では少ないが、こういう事は自分のスキル向上に役立つと思う。




(講義前に記載)

今日は62名。うち3名は香港から来台。


全体にこちらが考えていたより、相当なリコーダー的スキルは高かった事が驚きである。
それなりのセミナーだろうし、それの受講希望者なのだから当然だろうが、よく理解をし、
実践も出来る方々の集まりだった。恐るべし台湾である。

ただ、まだまだバロック音楽の基礎的知識や指導、各時代の形式、様式、ビート感などの
知識には欠けるため、そこにはまだ余地があるように思う。結構いい加減で吹きたいように
吹くという悪しき習慣。からだのくねらせもいけない。



明日は今日のCブルースを発展させ、ブルーノートを上昇、下降使用。
ビバップジャズから一転、モードジャズについて解説、展開をする。

前夜に猛勉強中である。

3キロ痩せました。



2013年8月1日木曜日

台湾若手パワー




訪台の次の午後からは、9月のコンサートのリハーサル。

ここは、ミンチョン先生とその生徒のイー・シン君(29)とヤオ・ティン君(16)というメンバー。



とにかくここにも明るい未来がありました。
イー・シン君は他楽器もハイスキルでこなし、音楽的繋がりで仕事を順調にこなしているそうです。

一方のヤオ・ティン君は最近に台湾トップの高校に合格。その中の更にハイクラスを目指すそうで、リハのあとは塾に飛んで行きました・・・。

ところで、彼の父は配送会社の社長、母が重役というボンボン!

特にお父様は以前お会いした時にもお話をし、ご馳走をしてくださったのですが、自分の進んだ会社社会を絶対に息子に歩ませたくない、と、息子の芸術家への道をとにかく支援しているとのこと。

直接、社長室に招かれビジネスマンの良くない点をご説明下さいました。理解と造詣が深く、幸せに思いますが、質素で成金との付き合いもしていないそうです。息子は環境抜群なれど、お父様からは少々プレッシャーがかかるでしょうか。しかし、息子を幸せにしたいというロジックが明確で、それが息子にも生かされているのでお話に聞き入りました。

私が両親に色々と感謝せねばなりませんねw


イー・シン君&ヤオ・ティン君


その後、歓迎の宴をして下さったのですが、そこには2年前に知り合ったイー・チャン君も
同席してくれました。彼はアムステルダムの王立音楽院3回生で、帰省中。2年前の台北や
去年のアムスで会った時よりも、洗練され鍛えられた感じがし、もはや風格までが出ていました。


イー・シン君とイー・チャン君、ミンチョン先生

今や飛ぶ鳥落とす勢いのオランダのリコーダー大合奏団のロイヤル・ウィンドについて
取材してみました。

ざっと明かすと、数プログラムを全て暗譜。土日に7時間の練習を毎月。本番前はもっと・・・。
勿論、彼自身は自分の古楽としてのリコーダーも学び、通奏低音やバロックスタディやらで大変な
はずです。実際、非常にタイトな生活だと言っていました。更に音楽学を学びに進学予定だそう。

イー・チャンのお父様も中華航空の重役で、息子の芸術家への道を支援されています。
夕食もご一緒下さいました。私がエアライン・マニアゆえに、それぞれのフラッグシップ、
台湾の中華航空の上昇気流と日本の日本航空の聚落について取材もしました。
詳細は伏せますが、中華航空は今や大阪に週70便ですから凄い成長です。
(カーゴは今ひとつですなっ、だそうです)



とにかくスキルとモチベーションはハンパ無く、吸収する力まで備えていますからリコーダーの未来は非常に明るい気がしました。そういう若者を育てる環境を作った事実には素直に敬意です。

しかも日本からの奏者を招聘して共演させ、経験を積ませるわけです。
こちらも、彼らとは近日でもグループを組めるでしょう。
私の新しいCDも喜んで聴いてくれるようでした。作っておいて良かったという事はこれからもありそうです。
とにかく本番が楽しみな、充実したリハーサルでした。





何より少々消極的だった妻が「英語を喋ろうと、し始めた」のも興味深い事です。

私の通訳を拒んだり、逆に、相手の目を見て名詞と動詞で喋りなはれ!と指導するなど。
とても良い傾向です。鍵盤ではなかなか世界にまで出れないでしょうから更に勉強しないとですね。
要は喋れないと相手にされませんし、確かに喋れない人には話しかけませんわ、こちらも。

私のいない楽曲は通訳しませんから~w



しっかし、この2年ばかりで街のパワーから清潔度から何から何までスキルアップしている
台北・・・。


どがんかせんと!